キャットフードに含まれているタンパク質

猫にとってタンパク質はとても重要な栄養素です。
人間の場合と同様、猫はタンパク質を体の臓器や筋肉などを作るのに使用します。
さらに肉食の猫は残ったタンパク質をエネルギーに変えて使用することもできるのです。
猫にとっては高タンパクの食事が必須です。

キャットフードのパッケージには「ペットフードの表示に関する公正競争規約」によって、成分の表示がされています(規約は自主規定ですが、一般的なキャットフードはこのルールに従って成分表示をしています)。
その中にキャットフードにどれだけタンパク質が含まれているかの表示があります。

この表示、タンパク質ではなく、粗タンパク質となっていませんか。
実はキャットフードの成分の中でタンパク質だけを測定するのは大変難しいのです。
そこで、まずタンパク質を含んでいる窒素化合物全体を計測します。
窒素化合物の中にはタンパク質以外のもの、アミノ酸やアンモニアが含まれています。
そこで窒素化合物の値に係数6.25をかけて、だいたいのタンパク質量を算出します。
この値を粗タンパク質と呼んでいるのです。
実際の窒素化合物には非タンパク質成分は少量しか含まれていませんから、粗タンパク質とタンパク質の量はだいたい同じだと考えて差し支えありません。

キャットフードのタンパク質を構成する原材料としては、動物性のもの(肉、魚、卵など)と、植物性のもの(大豆、コーン、小麦)があります。
動物性の原材料はもともとタンパク質の合有量が多く、肉食の猫にとっては本来の主食でもあります。
猫には動物性タンパク質は必須といえるでしょう。
一方で植物性のタンパク質はそのままでは消化率が低い(肉食の猫は植物の消化が苦手)ですが、現在は加工技術が向上しています。
大豆、小麦でも、タンパク質を取り出す加工を加えて、高い消化効率のキャットフードを作り出すことができます。

猫が特にタンパク質を必要とするのは主に筋肉の成長や維持に努めたいときです。
成長期の子猫、筋力の衰えを防ぎたい高齢猫、ダイエット中の猫にはタンパク質を積極的に摂らせます。
ただし、タンパク質を過剰に摂取すると、あまったアミノ酸が脂肪などに変化し、肥満の原因になります。
また肝臓や腎臓は余分な窒素化合物を濾過しなければならなくなり、負担を強いられます。
長期的なタンパク質の過剰摂取は、肥満や腎臓、肝臓の疾患につながってしまうのです。

猫に必要なタンパク質量はAAFCO(米国飼料検査官協会)基準で26%以上とされています。
総合栄養食と表記のある良質なキャットフードには猫にとって十分なタンパク質が含まれているものです。
たしかにタンパク質は猫にとって重要ですが、自己判断でサプリメントを与えることはかえって猫の健康を害しますから、タンパク質不足が懸念されるときは獣医師に相談してみましょう。