ドライキャットフードと飲用水

猫はもともと暑い地方に住んでいたため、少ない水分でも生きていけるよう、少量の濃度の濃い尿を排出します。
しかしこの尿の仕組みにはデメリットもあります。
尿中のミネラル分が凝縮され、尿に溶けきれず尿路結石を作り上げてしまうことがあるのです。

水分には他にも血液やリンパ液のもとになったり、汗となり体温調節に関わったり、栄養素の吸収の手助けをしたりと重要な役割がたくさんあります。
ウェットキャットフードが約80%の水分を含んでいるのにくらべ、ドライキャットフードは約10%以下の水分しか含んでいません。
水分合有量が少ないドライキャットフードを主食にしている猫に対しては細やかに水分を摂取させる以下のような工夫が必要です。

  1. 新鮮な水をいつでも飲める場所に用意する。
  2. いくつかの水飲み場を設置する(水が飲める容器を増やす)
  3. 好きな水の飲み方を把握しておく(流水が好き、汲み置きの水の方が好みなど猫のタイプによっていろいろ)
  4. 水が飲みやすい容器を用意する。
飲料水の種類ですがミネラルウォーターを与えるときは注意が必要です。
ミネラルウォーターには「軟水」「硬水」の区別がありますが、ミネラル(カルシウムやマグネシウム)が多く含まれている「硬水」を与え続けると、猫の体内のミネラルバランスが崩れてしまいます。
結果尿路結石、膀胱結石の原因になりかねないのです(すでに結石ができている猫にとっては病状を悪化させる原因にもなります)。

せっかく結石を防ぐために与えている飲料水なのに、これが病気の原因になっては本末転倒ですね。
猫に良い水をと考える気持ちは分かりますが、猫の飲料水は新鮮なものであれば水道水で十分なのです。
特に日本の水道水は厳しく安全性が管理されており、軟水として硬度も保たれています。
また水道水は塩素によって消毒されているため、雑菌が増えにくいという特徴があります。
置き水にする場合も菌が繁殖しにくいので衛生面でも安心なのです。
塩素の匂い、カルキ臭さが気になるときはいったんペットボトルに汲み置きしたり、沸騰させてさますという方法があります
一方で猫のためのミネラルウォーターも販売されています。
中身は人間の軟水ミネラルウォーターと同じという場合が多いです。
ただし水道水と違い放っておくと雑菌が繁殖してしまうので、容器に残った飲み残しは基本的に廃棄するのがよいでしょう。
置き水をする場合は水道水の方が適切です。