キャットフードと人間の食事の違い

猫も人間も、三大栄養素であるたん白質、脂肪、炭水化物が重要なことに変わりはありません。
しかし猫の場合、必要な三大栄養素の構成が人間とは違います。
食事における三大栄養素の構成を人間と猫で比較してみると、この違いが一目瞭然になります。

たん白質:人間の場合 18%  猫の場合 35%
炭水化物:人間の場合 68%  猫の場合 45%
脂肪  :人間の場合 14%  猫の場合 20%
(引用 「飼い主のためのペットフード・ガイドライン ~犬・猫の健康を守るために~」 環境省)

このような違いが生まれるのは猫が肉食だからです。
肉食動物の歯は食べ物をすりつぶすのは苦手です。
腸は草食動物よりもずっと短く、炭水化物の消化を苦手としています。

そのため、猫の主なエネルギー源は脂肪やたん白質となります。
猫に人間の食事を与えてしまうと、炭水化物を取りすぎてしまうかもしれません。
また必要な脂肪やたん白質が不足してエネルギー不足を起こすことがあります。
例えば人間の牛乳は猫にとってはたん白質や脂肪の割合が低いので、子猫に与えるには不向きです。

また猫は犬や人間と違って体内でタウリンやビタミンAを作ることができません。
そのためキャットフードで十分な量のタウリン、ビタミンAを摂取することが大切になってきます。
タウリンは心臓や腎臓の働きに必要な物質で、欠乏すると心筋症や免疫機能不全を引き起こす可能性があります。
ビタミンAは目の明暗調節機能を正常に保ったり、表皮を成長させるのに必要な物質で、欠乏すると皮膚疾患や視力障害が起こる場合があります。

では、塩分はどうでしょうか。
猫に必要な塩分は人間が一日に必要とする塩分の1/3だといわれています。
だから当然猫に人間と同じだけ塩分を取らせるのは危険です。
しかし一方で尿路結石の予防などのために水をたくさん飲んでほしいとき、(心臓疾患などの病気の猫は別として)健康な猫にやや多めの塩分をとらせても危険はありません。
肉食動物の猫は主食の肉に十分な塩分が含まれているため、塩分を体にため込む必要がないのです。
そのため猫はいつでも尿から塩分を捨てることができ、塩分過多になりにくいのです。

人間が当たり前に食べている物でも猫に与えてはいけないものがあります。
玉ねぎは猫の赤血球を破壊し、下痢や発熱を引き起こすため、大変危険です。
過熱した玉ねぎやエキスが染み出した味噌汁などでも同じ症状を引き起こします。
同じネギ科の長ネギ、ニンニク、ニラにも注意してください。
またブドウ、とくにブドウの皮は猫に腎不全を引き起こす可能性があります。

人間と猫とでは必要とする食事の内容、食べられない食材の種類がかなり違うのです。
猫には必ず猫に必要な栄養バランスが整っているキャットフードを与えましょう。
また、こちらにも載っているように手作りのキャットフードを用いる時も、脂肪やたん白質を多く含むよう注意しましょう。